和を求める その1

 

 課題  白玉●●●●●と、黒玉●●●●●●●の、和を求めます。

前回


方法その1 数える

 白玉と黒玉を、一列に並べて、数えます。
 ●●●●●●●●●●●●
 一・二・三・四・五・六・七・八・九・十・十一・十二
 白玉と黒玉を合わせると、十二個です。
 白玉と黒玉の和は、12です。
 数式で表現すると、次のようになります。
 5 + 7 = 12

 
方法その2 和の表を用いる

白玉1〜9、黒玉1〜9の、81通りの組み合わせに対応する、和の表を、作成します。
123456789
12345678910
234567891011
3456789101112
45678910111213
567891011121314
6789101112131415
78910111213141516
891011121314151617
9101112131415161718

白玉と黒玉の個数を、各々数えて、1〜9の、算用数字を用い、表現します。
白玉の個数は、表の第一列に、示しています。黒玉の個数は、表の第一行に、示しています。
行と列の交差する点が、和の値です。

例題は、白玉が5個、黒玉は7個です。表の5と7が交差する、12が、和です。
数式で表現すると、次のようになります。
5 + 7 = 12
白玉が7個、黒玉は5個の場合は、7と5が交差する、12が、和です。
数式で表現すると、次のようになります。
7 + 5 = 12
二つの式を比較すると、
5 + 7 = 7 + 5 = 12
これは、和を取る順序を入れ替えても、和が同じであることを、示しています。
演算の順序を入れ替えても、同一の結果を得ることを、交換則が成立すると、言います。


方法その3 和の組み合わせを記憶し、用いる

二つの数字の、81通りの組み合わせに対応する、和の表を、記憶します。
この方法は、総ての組み合わせを、記憶するためには、一定の訓練と、時間が、必要です。
例えば、表を見ないで、5と7の和は、・・・、12? 表を見て、確認? 正解!!!

ところで、7と5の和は、・・・、12です。
これは、5と7の和に、一致します。
5と7の和か、7と5の和の、いずれかを記憶すれば、十分です。
従って、記憶する組み合わせは、81通りでなく、45通りに、減少します。
上記の和の表では、記憶する領域は、色と色の領域です。

方法その4 数え方に、工夫をする

白玉と黒玉の数が、10を超える場合、数え方に、以下の工夫をします。
白玉と黒玉の数を比べて、大きい方を、左側に、並べます。

白玉が五個、黒玉は七個の場合は、
●●●●●●●  ●●●●●
次に、少ない方から、玉を移動し、十個の列を、作ります。
●●●●●●●●●●  ●●
十個の列が出来たら、残った玉を、数えます。
白玉と黒玉の個数は、十個と二つ、12です。
この操作を、数式で表現すると、次のようになります。
7 + 5 = 7 + (10 - 7) + 5 - (10 - 7) = 7 + 3 + 5 - 3 = 10 + 2 = 12

白玉が二個、黒玉は七個の場合は、
●●●●●●●  ●●
次に、少ない方から、移動し、十個の列を、作ります。
●●●●●●●●●
この場合は、十個の列が出来ず、白玉と黒玉の個数は、十個未満の、9です。

方法その4 算術を、用いる

上記の数え方を、算用数字を用いて、以下の手順で、行います。

@ 白玉と黒玉の個数を、各々数え、算用数字でに表現します。
  例えば、五個は5と七個は7、七個は7と二個は2

A 算用数字の大小を、判断します。
  例えば、5と7では、7は、5より、大きい。7と2では、7は、2より、大きい。
  数式で表現すると、次のようになります。
  5と7は、5 < 7   7と2では、7 > 2

B 大きい方の数値に注目し、補数を、求めます。
  補数は、10に、幾つ不足しているかの、数値です。
  例えば、7の補数は、3。
  数式で表現すると、次のようになります。
  7の補数は、10 - 7 = 3

C 補数が、小さい方の数値より、大きい場合は、二つの数値の和を、求めます。
  7と2の場合、補数3は、小さい方の数値2より、大きい。和は、7と2で、9です。
  この場合は、和は、10未満です。

  数式で表現すると、次のようになります。
  7の補数は、10 - 7 = 3 であるから 3 > 2 より、和は、10以下となり、
  7 + 2 = 9

D 補数が、小さい方の数値より、小さい場合は、補数と小さい数値との差を、求めます。
  この場合、和は、十と、補数と小さい数値との差、です。
  例えば、補数3と、小さい方の数値5との差は、2です。和は、十と2、12です。
  この場合は、和は、10以上です。
  これを、数式で表現すると、次のようになります。
  7の補数は、10 - 7 = 3 であるから 3 < 5 より、和は、10以上となり、
  7 + 5 = 7 + (10 - 7) + 5 - (10 - 7) = (7 + 3) + (5 - 3) = 10 + 2 = 12

この方法では、以下の記憶が、必要です。
@ 数値の、大小関係。
A 補数に関する情報。
  補数は、10に、幾つ不足しているかの、数値です。
  1は9、2は8、3は7、4は6、5は5、6は4、7は3、8は2、9は1、です。
B 和が、10未満の領域に関して、二つの値の和を、記憶します。
  和が、10未満の領域では、組み合わせは、45通りです。色と色の領域です。
  さらに、交換則により、記憶する組み合わせは、20通りです。色の領域です。
123456789
12345678910
234567891011
3456789101112
45678910111213
567891011121314
6789101112131415
78910111213141516
891011121314151617
9101112131415161718


C 和が10以上となる、大きい数と、小さいの数の、組み合わせは、以下の、25通りです。
  大きい数値が9なら、補数は1です。小さい数値は、9〜1まで、9通りがあります。
  大きい数値が8なら、補数は2です。小さい数値は、8〜2まで、7通りがあります。
  大きい数値が7なら、補数は3です。小さい数値は、7〜3まで、5通りがあります。
  大きい数値が6なら、補数は4です。小さい数値は、6〜4まで、3通りがあります。
  大きい数値が5なら、補数は5です。小さい数値は、5の、1通りです。

  以下の表は、補数と、小さい数値との、差です。
  表の一行目の、赤い数字は、補数です。
  表の一列目の、黒い数字は、小さい数方の、数値です。
  列と行が交差する点での数値が、補数と、小さい数値との、差です。
12345
10    
210   
3210  
43210 
543210
65432
7654
876   
98   


方法その5 道具を用いる

二つの数の、和を求める方法として、算盤(そろばん)の利用を、検討します。
算盤は、梁(はり)を挟んで、天(梁の上側)と、地(梁の下側)の珠で、構成されます。
天にある珠(天珠)は、1個の珠で、5個の珠を、表しています。
地にある珠(地珠)は、1個の珠で、1個の珠を、表しています。

算盤の珠は、親指と人差し指を用い、次の操作を用いて、移動します。
天珠を「入れる」操作は、天珠を下方に、移動することです。
天珠を「払う」操作は、天珠を上方に、移動することです。
地珠を「入れる」操作は、地珠を上方に、移動することです。
地珠を「払う」操作は、地珠を下方に、移動することです。

算盤の最初の状態は、総ての天珠と地珠を、払った状態です。


天珠と地珠の操作で、1〜9の数が、以下の様に、表現できます。
 
 1
 2
 3
 4
 5
 6
 7
 8
 9

例えば、7の設定は、天珠を入れ(5を設定)て、地珠を2個、入れます。

二つの数の、和を求める場合は、最初に足される数(被加数)を、入れます。
次に、足す数(加数)を、入れます。
加数は、被加数の天珠と地珠の状態と、加数との関係から、次の操作方法で、入れます。

@ 直接1
  天珠と地珠に、入れる珠が、必要な数だけ、残っている場合、天珠と地珠を、入れます。
  加数が、4以下の場合、必要な数だけ、地珠を、入れます。
  加数が、5以上の場合、天珠入れて、残りの数を、地珠に、入れます(残数の処理)。

 被加数は、天珠が入っていなく、地珠が、二つ残っています。
 加数が1か2の場合、地珠を、1個か2個、入れます。
 加数が5の場合、天珠を、入れます。
 加数が6か7の場合、天珠を、入れて、
 5を超えた、残りの1個か2個を、地珠に入れます(残数の処理)。


A 直接2
  天珠が入っていて、加数が、5以上で、地珠に、入れる珠が、残っている場合です。
  この倍は、和が10以上となり、桁上げが、必要です。
  桁上げは、天珠を払い、左側の地珠を、1個入れます。
  5を超えた、残りの数を、地珠に、入れます(残数の処理)。

 被加数は、天珠が入っていて、地珠が、二つ残っています。
 加数が5の場合、天珠を払って、桁上げを、行います。
 加数が6か7の場合、天珠を払って、桁上げを、行い、
 地珠を、1個か2個、入れます(残数の処理)。

B 5の補数1
 被加数は、天珠が入っていず、地珠は、入っていない個数が、加数より、少ない場合です。
 この場合、和は、5以上になります。
 そこで、5に足りない数(5の補数)を、地珠から払い、加数を5として、天珠を、入れます。
 5の補数は、加数が1のときは4、2は3、3は2、4は1、です。

 被加数は、天珠が入っていず、地珠が、二つ残っています。
 加数が、3か4の場合、直接入れる地珠の数が、足りません。
 加数が3の場合、地珠は、2個を払い、天珠を、入れます。
 加数が4の場合、地珠は、1個を払い、天珠を、入れます。

 被加数が2、加数が3 の場合を、数式で表現すると、次のようになります。
 2 + 3 = 2 + (5 - 2) + 3 - (5 - 2) = (2 + 3) + (3 - 3) = 5 + 0 = 5
 (5 - 2) が、補数になります。

C 5の補数2
 被加数は、天珠が入っていて、地珠は、入っていない個数が、加数より、少ない場合です。
 この場合、和は、10以上になります。
 そこで、5に足りない数(5の補数)を、地珠から払い、加数を10として、桁上げをします。
 桁上げは、天珠を、払い、左側の地珠を、1個、入れます。

 被加数は、天珠が入っていて、地珠は、残っていません。
 加数が、1〜4の場合、直接入れる地珠の数が、ありません。
 加数が1の場合、地珠は、4個を払い、天珠を払い、桁上げをします。
 加数が4の場合、地珠は、1個を払い、天珠を払い、桁上げをします。

 被加数が9、加数が3 の場合を、数式で表現すると、次のようになります。
 9 + 3 = 5 + 4 + 3 = 5 + 4 + (5 - 4) + 3 - (5 - 4) = 5 + 5 + 3 - 1 = 10 + 2 = 12
 (5 - 4) が、補数になります。

D 10の補数
 加数が、6より大きく、被加数の地珠が、入っている場合に、用います。
 この場合、和は、10以上になります。
 そこで、10に足りない数(10の補数)を、地珠から払い、加数を10として、桁上げをします。
 桁上げは、左側の地珠を、1個、入れます。

 被加数は、地珠は、4個入っています。
 加数が、6〜9の場合、利用できます。
 加数が6の場合、地珠は、4個を払い、桁上げをします。
 加数が9の場合、地珠は、1個を払い、桁上げをします。

 被加数が9、加数が8 の場合を、数式で表現すると、次のようになります。
 9 + 8 = 9 - (10 - 8) + 8 + (10 - 8) = 9 - 2 + 8 + 2 = 7 + 10 = 17
 (10 - 8) が、補数になります。

被加数が1〜9、加数が1〜9の、81通りの和は、上記の操作の、いずれかで、求まります。
この方法は、被加数と加数の和が知って、天珠と地珠を設定するものでは、ありません。
この方法は、天珠と地珠の、物理的な操作から、和を求めます。
加算の結果は、天珠と地珠の状態から、判断します。

下表に、被加数と加数の、81通りの組み合わせに関して、操作の型と、操作を、示します。

被加数
加数操作
1〜3直接1  地珠を、1〜3個、入れる
45の補数1  地珠を、1個、払って、天珠を、入れる
5直接1  天珠を、入れる(5を加える)
6〜8直接1  天珠を、入れる(5を加える)
 地珠を、1〜3個、入れる(残数の処理)
910の補数  地珠を、1個、払って、桁上げ
1〜2直接1  地珠を、1〜2個、入れる
3〜45の補数1  地珠を、2〜1個、払って、天珠を、入れる
5直接1  天珠を、入れる(5を加える)
6〜7直接1  天珠を、入れる(5を加える)
 地珠を、1〜2個、入れる(残数の処理)
8〜910の補数  地珠を、2〜1個、払って、桁上げ
1直接1  地珠を、1個、入れる
2〜45の補数1  地珠を、3〜1個、払って、天珠を、入れる
5直接1  天珠を、入れる(5を加える)
6直接1  天珠を、入れる(5を加える)
 地珠を、1個、入れる(残数の処理)
7〜910の補数  地珠を、3〜1個、払って、桁上げ
1〜45の補数1  地珠を、4〜1個、払って、天珠を、入れる
5直接1  天珠を、入れる(5を加える)
6〜910の補数  地珠を、4〜1個、払って、桁上げ
1〜4直接1  地珠を、1〜4個、入れる
5直接2  天珠を、払い、桁上げ
6〜9直接2  天珠を、払い、桁上げ
 地珠を、1〜4個、入れる(残数の処理)
1〜3直接1  地珠を、1〜3個、入れる
45の補数2  地珠を、1個、払って、天珠を、払って、桁上げ
5直接2  天珠を、払い、桁上げ
6〜8直接2  天珠を、払い、桁上げ
 地珠を、1〜3個、入れる(残数の処理)
910の補数  地珠を、1個、払って、桁上げ
1〜2直接1  地珠を、1〜2個、入れる
3〜45の補数2  地珠を、2〜1個、払って、天珠を、払って、桁上げ
5直接2  天珠を、払い、桁上げ
6〜7直接2  天珠を、払い、桁上げ
 地珠を、1〜2個、入れる(残数の処理)
8〜910の補数  地珠を、2〜1個、払って、桁上げ
1直接1  地珠を、1個、入れる
2〜45の補数2  地珠を、3〜1個、払って、天珠を、払って、桁上げ
5直接2  天珠を、払い、桁上げ
6直接2  天珠を、払い、桁上げ
 地珠を、1個、入れる(残数の処理)
7〜910の補数  地珠を、3〜1個、払って、桁上げ
1〜45の補数2  地珠を、4〜1個、払って、天珠を、払って、桁上げ
5直接2  天珠を、払い、桁上げ
6〜910の補数  地珠を、4〜1個、払って、桁上げ



方法その6 電卓を用いる


一桁の数値の和を求めるには、記憶力で、十分に、対応できます。
二桁以上の和になると、工夫が、必要です。
日本では、古くから、算盤による計算が、実用的に、用いられてきました。
最近は、算盤に変わり、電卓の利用が、一般的です。

電卓は、数値の入力と、+や=などの、演算子の選択だけで、利用できます。
電卓の利用は、電子計算機の仕組みなど、理解しなくても、可能です。
でも、少しだけ、ブラックボックスの中を、覗いてみます。

電子計算機の演算の中心は、二進数の演算を、利用しています。
一桁の二進数は、0か1か、いずれかの値です。
一桁の二進数の和は、0+0=0、0+1=1、1+0=1、1+1=10 、いずれかです。
二桁以上の和は、各桁毎の和を求め、桁上げを、行うかどうかです。
一桁の十進数は、81通りの和の組み合わせですが、二進数は、4通りです。

電卓では、数値の入力と、結果の表示は、十進数を、用います。
従って、十進数の数値を二進数に、二進数の数値を十進数に、変換が必要となります。



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