ロゼッタ・ストーンの教訓

人類は、進歩の過程において、様々な知識を獲得し、それを記録してきました。
人類が蓄積した知識を利用できるのには、情報として記録され継承されることが必要です。
はたして、どの時代の情報が継承され、アクセス可能でしょうか。
人類が得た知識を情報として記録し継承するためには何が必要か、ロゼッタ・ストーンを教訓として検討します。

ロゼッタ・ストーンとは
ロゼッタ・ストーンは、1799年にナポレオンのエジプト遠征のさいに、発見されました。
現在は、大英博物館に展示されています。
石碑は、紀元前196年の古代エジプトの情報が記録されています。
石碑は、三種類の文字を用いて記述され、その解読は1822年にシャンポリオンによってなされました。
その碑文は、大英博物館を訪れなくても、インターネット上で、容易に入手できます。
これらのことは、以下のことを示唆してます。

記録媒体
第一に、ロゼッタ・ストーンが、2000年の年月のなかで、風化や戦火による消失を免れました。
これは、記録媒体として石を用いたことによります。
従って、適切な記録媒体の選択が、史料の保存を図る上で重要です。

記録様式の多重化
第二に、古代エジプト文字の解読が可能だったのは、それに対応するギリシャ文字が記載されていたことによります。
人類が用いる言語は、永遠に継続するものでなく、文明や民族の盛衰に伴って、失われることもあります。
従って、情報の継承には、記録様式の多重化を図ることが重要です。

保存と管理
第三に、公的な機関での史料の保存と管理が必要です。
現在、石碑は大英博物館という公的な機関で管理されています。
これは、史料の散逸を防ぎ、今後の史料の保存を確実にするものです。

公開
第四に、史料の公開や、史料に関する情報の発信が必要です。
現在、ロゼッタ・ストーンは、大英博物館において閲覧が可能です。
さらに、石碑の碑文は複写され、紙媒体や電子媒体上で公開されています。
これは、石碑に記載された歴史的な情報を、情報として継承していく確かな方法です。