幕藩制政治の時代は、諸国の領地の領分は、村を単位に行われています。 「旧高旧領取調帳」には、村の旧村が記され、その領名や石高が、記載されています。 旧村名を検討すると、”町”の文字を含む村名が、見出されます。 従って、地名に”町”含む領地を抽出することにより、幕藩制時代におけ町の存在が、検討できます。 旧村名に”町”を含むものは、1289ヶ所見出されます。 この内、武蔵国の桜田町や千駄ヶ谷町のように、地名の語尾に”町”を含むものが、574ヶ所です(資料1)。 さらに、越後国の亀田町新田や四日町村のように、語尾以外に”町”を含むものが、715ヶ所です(資料2)。 資料は、”町”に関わる地名に関して、その国名・郡名・地名・データの件数(領主数)・石高を示しています。 さらに、資料1と2に関して、国別の集計を行いました(資料3と資料4)。 集計表は、国毎に、町の数・データの件数・石高・1町当りの石高です。 574町は、73の諸国の内、54の諸国で見出されます。 件数は、916件です。総石高は、26万6千石程です。 1町当り、件数の最も多い町は、越後国・苅羽郡・柏崎町の23件、石高は360石です。 その詳細は、遍照寺などの寺の除地として、(資料)に記載されています。 1町当り、石高の最も大きい町は、常陸国・新治郡・石岡町の5838石、9件です。 ”町”が見出せない諸国は、磐城国・陸前国・陸中国・加賀国・飛騨国・尾張国・志摩国・伊賀国・淡路国・備前国・備中国・石見国・土佐国・大隅国・薩摩国・長門国・周防国・隠岐国・壱岐国の、19ヶ国です。 下表は、国毎の町数と石高に関して、降順に示します。 町数の最も多い国は、武蔵国の91町です。 石高の最も大きい国は、羽前国の3万石です。 |
町数の降順
| 石高の降順
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73の諸国の内、61の諸国、715町で見出されます。 件数は、975件です。総石高は、35万9千石程です。 1町当り、件数の最も多い町は、常陸国・茨城郡・太田町村の13件、石高は856石です。 1町当り、石高の最も大きい町は、羽前国・最上郡・十日町村のの3671石、2件です。 ”町”が見出せない諸国は、安房国・若狭国・志摩国・伊賀国・山城国・備中国・石見国・長門国・土佐国・隠岐国・壱岐国・対馬国の、12ヶ国です。 下表は、国毎の町数と石高に関して、降順に示します。 町数の最も多い国は、越後国の88町です。 石高の最も大きい国は、羽前国の3万6千石です。
なお、町の果す役割と地名との関係は、個別的に検討することが必要です。 長門国や土佐国などは、”町”を含む地名が、「旧高旧領取調帳」には、見出せません。 これらの諸国に関して、町の機能をもった領地の存在と地名に関しては、検討の課題です。 |